後に。

描かなかった、描き切れなかった設定をご紹介。
わかりづらかった部分の補足もしております。


ブリアティルトの意志
オリハウラの悲哀
大地ガガミ
パンセの手錠
ガガミの執着
黒い手の群れ
ウリフェラの最後
正夢
ハッピーエンド




リアティルトの意志
――ブリアティルトは私のことを嫌っている…。


 「呼び声」においてジュノウがパンセのことを忘れたのは、「ブリアティルトがパンセを追い出したがっているから」。

 パンセがいるこちらの世界にガガミが無理やり入りこもうとしているのを、ブリアティルトはずっと防いでいたのだが、力で上回るガガミに負けそう。
…ならば、ガガミがこっちに来る理由であるパンセを、再び帰そうと考えた。
 パンセをこの世界に繋ぎ止める理由であったジュノウから、パンセの記憶を消し、自ら出ていくように仕向けたかった。
 しかしながら、その目論見は失敗。(SS「呼び声」〜「空と花と」)

 その後、ジュノウの他にも、オリハウラ、シャントリエリ、ガーベラやネージュといったパンセを繋ぎ止める者が多く現れたため、記憶を消して…という方法はそれっきりとなった。
 特にガーベラとネージュはパンセの血が入っているために、ほとんど手出しできなかった。
 ジュノウの記憶がなくなったのが1回で済んだのはそのため。

 その後、巻き戻りの際に変な場所に飛ばされているのは、巻き戻りのゴタゴタに乗じてなんとか力技で追い出せないかを試していたため。
 結局はどうにもできずにガガミの襲来を許してしまった。

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リハウラの悲哀
死なないのではない。生きていないのだ。我々は発生し、そして消滅する。



 オリハウラは不死だが、生を超越したのではなく、生を持っていないもの。

 永遠に存在し続けられるということの孤独。
 命がないということは、風が吹くという現象と同じ。
 死なない。食べない。子が出来ない。

 巻き戻りで忘れられることを必要以上に恐れる理由も、ますます孤独になってしまうから。

 永遠を持つオリハウラの悲哀はこの漫画のメインテーマでした。

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地ガガミ(我々見)
今日も大地の嘆きがこだまする。止むことのない嘆きが。


 大地にも空と海にも意志があるそんな世界にある、大地の芯。
ガガミの上に土があり、その上に生物が暮らしている。

空と海は既に言葉をなくしており、生命にも愛情を持っていた。恐れられているのは大地ガガミのみ。

 自身の上で生物が繁栄することを嫌い、地震を起こしたり、噴火させたり、地割れを起こしたりと、なんとかして殺そうとする。
 それでも自分の上を降りない生物たちに憎しみすら抱いている。
人や獣ももちろん嫌いだが、なかなか剥がれない樹や苔などが特に嫌い。

 パンセがいなくなってからは更に酷く、獣や人は絶滅寸前まで追い込まれている。
 パンセを追いかけて黄金の門をくぐる際に、生き物をすべて海に落としているため、現在は海で生きられる生き物しか存在していない。

▲自身の上にある土ごと海に捨て、門をくぐろうとしている。

 名前の由来は「我々が見ているもの」「我々を見ているもの」。そこから漢字を抜き出して「我々見」となった。
地方によってはガガミル、ガガミテと呼ばれることもある。

 今回、ガガミとパンセとの力が均衡しているように見えたが、それはパンセを生かして取り戻そうとしたため。
 もし殺す気であれば、その力の差は歴然。


初登場はSS「地の底から」。

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ンセの手錠
私はいつもその音を聞いていた

 パンセはガガミに能力を与えられているが、両親は普通の人間。
普通の人間から生まれた子供に、眼球がなく、ないのにも関わらず見える という能力は周囲の人間を大いに怖がらせた。
 その結果、迫害・監禁の流れとなった。

 彼らが監禁した大きな理由は、ガガミに目を付けられないよう目立ちたくなかったため。
当時からガガミがその時の気分で地域を壊滅させていたので、下手に目立つと壊滅させられると危惧してのこと。

 ガガミは、パンセが迫害程度では絶対に死なないような能力であることもあって、その状態を放置。
(そもそもガガミはパンセの精神状態に関心がない。)
 監視員やネズミ、ハエ、土中生物といった周囲にいるものの生命力を無差別に吸収し、パンセは生き延び続ける。
 2人の監視が死んだところで、パンセのところには誰も来なくなった。
 監禁されて7年が過ぎたころ、「ここを出たい」というパンセの願いにより黄金の門が開かれ、パンセはガガミの元を去った。

 なお、パンセには普通に両親、兄弟がおり、彼女は可愛がられていた。彼女の本当の名前もちゃんと存在する。
 家族はパンセが監禁されたことを悲しんでいたが、その世界はガガミの影響で死は常に隣にあり、理由も理解できていたため、取り返そうとすることなく諦めている。

▲ここで塗りつぶされているのは「ガガミ」の文字。


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ガミの執着
美しい土人形。素晴らしい能力と素晴らしい容姿を与えた土人形。


 嫌いな"土くれ"を殺しつくすこともできず、空も海も言葉をなくし会話ができない。
 自分と会話をしてくれる何かが欲しいと思い、パンセに力を与えた。
 しかし、なぜ胎児のころのパンセを選んだのか不明。

 パンセがいなくなった時点で同じように別の人間に力を与えればよかったのに、なぜかパンセに執着し、追い求めている。そこに合理的な理由はない。
門をくぐる際にすべての”土くれ”を海に棄ててしまったので、もうパンセしか求めるものがなくなってしまった。
 その事実がまた、ガガミが頑迷にパンセを追い求める理由となってしまった。

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い手の群れ
どれほど憎まれようと、皆、あの大地でしか生きられなかったのよ


 ガガミの上で生まれ、理不尽に殺されていったものの無念の想い。
 どれだけ酷く殺されようと憎まれようと、生きよう生きようとしていたのに、最後にはすべて海に捨てられ溺死。

 死してなお、…死んだからこそ、やっとガガミに反撃できるようになった。
 ただ家に帰りたいという小さな願いだったけども。

 当初は黒い手の登場でガガミが帰る予定だったが、思った以上にガガミを強く描きすぎて、帰せなかった。

 人の形が多いのは、自分がガガミに殺されたことを、最もよく理解しているから。

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リフェラの最後
気づかれなくてもいい。 愛されなくてもいい。それでも得るものはある。


 語彙が少なく、声が小さく、存在感が希薄でオリハウラにしか気づかれていなかったキャラ。
 かなり重要なキャラでありながらその設定故、物語に登場できたのは二度のみ。

 常に人との繋がりを求めて契約結ぶオリハウラに対し、見返りを一切求めないウリフェラは対極の存在でした。
 ウリフェラは精霊ではなく、ガガミの能力の一部を削り出したもの。
 門に飲み込まれた後は、ガガミに再吸収され消滅したと思われる。

 元々ウリフェラはパンセの元に残る予定でしたが、予想以上にガガミを強くしすぎて、  門の外に追い出せる気が全くしなかったので、ウリフェラが犠牲になりました。
 ごめんよ、ウリフェラ。

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大切な誰かを守った夢


 正夢という漫画を描いたのは3年前。
 これは土人形の構想が出来たときに描いたもの。あまりにも汚いのでセリフをページの下につけました。
 このころはまだ、呼び声を書き始める前。
 なので、まだネージュは登場しておらず、オリハウラはネージュのことを知らない「誰か」と呼んでいます。
 予定では、ネージュが12歳のときに土人形をスタートさせる気でいたため、デザインが12歳時のものになっています。
 結局は、書きたい話を書いていたら12歳時に間に合わず、15歳時となりました。
 年齢が上がったことにより、「オリハウラがネージュをうまく言いくるめて契約を結ばせる」ことができなくなり、「意識が朦朧としているところで契約を結ばせる」という流れに変更されました。

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ッピーエンド
 もしもオリハウラが、消滅しなかったら…
 彼はジュノウやその子供たちが老い、死んでゆく姿を見ることとなったでしょう。
 ただ一人取り残され続ける
 彼は死なないから…

 そうなることに比べたら、意味のある消滅を選ぶことが出来たことは、
 オリハウラにとってのハッピーエンド。

 ジュノウが泣きながら彼の帰りを待っていたとしても、きっと。





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