神官と咎人 花と記憶 2



「…ジュノ」
訊こうと …思った。 そうして声を掛けた。

ジュノウが目を見開いてこちらを見ている。

…待って。 待って、パンセ。
おかしい。何かがおかしい。 頭の中でチカチカ何かが光る。
…何がおかしい?

―――倒れていてさ

倒れていてさ    倒れて「いて」さ?

その直前まで二人で居た …よね?

だから…


倒れて さ じゃない…の?

何かがおかしい。
この部屋に物入れがないことも、オリハウラの反応がなかったことも、今ジュノウが目を見開いてパンセの顔を見ていることも

全部、おかしい。

パンセはじっとジュノウを見た。


ジュノウの目が左右をいったりきたりする。
目をぱちぱちとさせ、あごを指先でとんとんと叩いた。

そうして言った。
「俺…  君とどこかで会ったかな?」