神官と咎人 花と記憶 9







3人の奇妙な生活は奇妙なまま1ヶ月続いた。

知り合って間もないからだろうか、ジュノウはパンセに対して余所余所しく、
オリハウラは徹底してパンセと話すことを避けている。

見慣れた家、見慣れた風景、見慣れた人たちの顔。
なのに。 パンセはたった一人別世界に迷い込んだような気持ちになった。

(どうしてこうなったのだろう)

あまりにも突然のことで、どうしていいかわからない。

ジュノウは自分を忘れたのだろうか?
それとも、あのジュノウは自分の知らないジュノウなのだろうか。

そもそも… 自分はどうしたいのだろう?
前と同じ状態に戻りたいのか?
なんとしてもジュノウに自分のことを思い出させたいのか?
思い出させなくても、今のように同じ場所にいることはできる。


ジュノウのそばにいなくてはいけない理由はない。
このブリアティルトの地で生きてゆく術はとっくに身に付いたのだ。

めぐりの悪い討議の声が日ごとに大きくなる。



それでも最後に思うのだ。
ジュノウのそばにいたい、と。